「おなかのへるうた」(阪田 寛夫 作詩 大中恩 作曲)の誕生秘話。小野忠男、五十野惇、片山有美子、星野梨沙、小野節子、喜多唯千香、喜多皓美、喜多美琴、坂田明奈、本間藍子、上妻紘人。 - YouTube
子どもたちに夢と喜びと愛の心をはぐくみたいという願いから、私どもでは『親子で楽しむ童謡集』を編纂、出版いたしております。
親子で楽しむ童謡集第3集は、「サッちゃん」「いぬのおまわりさん」「おなかのへるうた」などで知られる作曲家、大中恩さんの特集です。
この度、大中恩さんとの対談を記録した映像が見つかりました。
NHK番組「おかあさんといっしょ」「なかよしリズム」等の元ディレクター、元東京家政学院大学教授で友人の、五十野惇先生に監修を、アーティストの片山有美子さんに映像の編集、制作をお願いいたしました。
大中恩さんは生前、「歌は、生きる力を呼び起こす魔法の種のようなもの。聞いてくださる方々が、明るい気持ちになるように、音楽でやさしい心を伝えたい」とおっしゃっておりました。
活字だけでは表しきれない、大中恩さんの明るく楽しい、ユーモア溢れるトークを、皆様にお伝えできればと願っております。
大中恩さん 直筆「おなかのへるうた」
△大中恩さんの直筆楽譜「おなかのへるうた」 は 『親子で楽しむ童謡集 第3集』(にっけん教育出版社)125ページにございます。ぜひご参照ください。▽
以下、『親子で楽しむ童謡集 第3集』(にっけん教育出版社)より引用
福田:次は「おなかのへるうた」についてお話しください。
小野:この曲も阪田さんの作詩でしたよね。1960年(昭和35年)10月、大中先生が36歳の時に発表されていますよね。
大中:そうです。「サッちゃん」を作ったら、わりと評判がよかったので、「もう1つ二人で作ったら金になるぞ」なんて言ってね(笑)。それが 「おなかのへるうた」なんです。更に、色気を出して二人で作ったけれど、もうダメでしたねえ(笑)。色気を出したらダメだっていう事ですよね。
福田:あ、そうなんですか(笑)。
小野:「おなかのへるうた」の詩をご覧に なったときも、大中先生は一字も直さないで「これは」という感じで、自然に曲ができたんですか?
大中:はい、そうです。僕は詩をあまり直したことがないんですよ。
小澤:私の幼稚園でも、この歌は大人気ですよ。
小野:“どうしておなかがへるのかな”の「どうして」は、質問期の幼児にピッタリですし、“おなかとせなかがくっつくぞ”に子どもたちは「そんなことあるのかな?」と、本当にびっくりするんですよ。
五十野:“くっつくぞ”のメロディーが面白いですよね。
大中:「おなかのへるうた」の中の“かあちゃん、かあちゃん”という歌詩があるんですが、そこにNHKが「“かあちゃん”なんて言葉はよくない」と言うんで「それじゃ、“おかあさま”にでもするか」って意見をたたかわせたことがあったんですよ(笑)。
福田:ヘえ、そんなことがあったんですか。 大中:そのころのNHKは、まだまだそんな考え方でしたからね。
小野:でもそれは、大変でしたね。
五十野:大中先生が作曲した歌が“かあちゃん”だったんで、NHKでも「もう 仕方がない」ということになったんですよ。大中先生の曲でなかったら、きっとNHKでも「“かあちゃん”はまずい」ということになったかもしれません。NHKでも意見が分かれましたからね。
小野:その当時のNHKを負かしたんだから、それはやはり大中先生の力は大 したものだったわけですよね、当時から。
五十野:“とうちゃん”“かあちゃん”という言葉は阪田先生と大中先生で、はやらせたわけですね(笑)。
大中:面白いんですよ、阪田の家は。僕と違って、いいとこのお坊ちゃんなんですけど、自分の子どもには、“とうちゃん”“かあちゃん”と呼ばせて いたんです。はじめは“パパ” “ママ”だったと思うんですけれど、いつの間にかね。かえって粋だな、なんて思ったりしますが。
「すいれん」「メチャクチャがえる」小野忠男の童謡文化フォーラム3・作曲家渡辺茂と語る。「たきび」「ふしぎなポケット」の渡辺茂×小野忠男
まど・みちお さんの創作力。まど・みちお さんは絵や詩をどのようにつくられるのですか?まど・みちお×小野忠男