まど・みちおさんが語る「ぞうさん」誕生の真実まど・みちお小野忠男


小野忠男        まど・みちおさん
2000年8月2日まど・みちお×小野忠男ぞうさん」の対談映像より
まど ぞうさんについてはもう嫌になるほど聞かれてますね。別に特に深い意味はなくて、ただお鼻が長いというだけで、別に意味があるっちゅうわけじゃなかった。それがあとからもう何度も聞かれるものだから、もっともらしい理屈をつけてね。だんだんそれが洗練されていくんでね。
小野 先生の本を読んだら、動物園に戦後あの上野動物園に行かれたのかな?あの、子供連れて行ったときに…
尾上 あれはね、新聞記者の作り話。それでね、先生は「私はぞうを書くために動物園に行くなんてことはしません」ってどこかでおっしゃってるの。
まど 新聞記者が作ったていうのは、私が、「あれも知らないこれも知らない」って、聞かれる質問を「みんな知らない」っていうもんだから、(新聞記者が)「じゃあ私が作りましょう」って言って作ったものなんですよね。だから私は覚えていないんですよ、実際ね。
小野 あの本で読んだら、「ぞうさん」が、先生がお子さんか誰か連れて動物園に行って、それで見て作ったっていうと自然な感じがするんですよね。読んで。
まど あの新聞記者、創作能力があるんですよ。
小野 僕なんかそれ読んで「はぁー」と思ってそれで終わっちゃったのですが…
まど 歌なんかでもすごく流行った歌には作り話が必ずくっついてくる。あの童歌(わらべうた)がね、似てるけど、どことなくみんな地方によって少しずつ変わってるでしょ? 要するにあれはその地方の人が歌いやすいように歌ってる。歌いやすいように歌ってるからみんな変わっていく。それと同じですよね。
小野 そうすると先生が作詞したのとは違って、またプラスで誰かがそこからイメージして作ったのをまど先生がOKて言っちゃったわけだね?
尾上 そのねぇ、わかるんですよ。こういろんなことね、記者に次々次々聞かれてね、「じゃあこういうふうにまとめさせていただきます、いいですね」て言うと、「はい」て言ってね。先生は気がいいからおっしゃるでしょう?
小野 うちの5ヶ月の孫がいてね、いちか(唯千香)っていうんです。ちょうど尾上(尚子)さんね、「ぞうさん」歌ってたんです(私の娘が)こう抱っこしながら。「いちかちゃん、いちかちゃん、だあれがすきなの」「そうね、かあさんが好きなのよね」て孫に3番作って歌ってたんですよ。だからあの温かいメロディーと詩にそういう親子の温かさがにじみ出てるんですね。4ヶ月〜5ヶ月の0歳の子が、お母さんがね聞かせてあげて、あれ歌ってるお母さんの方が抱っこしながら歌いやすいのかな?
尾上 そうですね。やっぱり単純でわかりやすくてなじみがあって、ぞうさんの歌で、優しいでしょう。メロディーも良いですよね。あの鼻のぶらぶらの感じがぞうさんぞうさんってね、だから子供はだれでも好きですね。
小野 「ぞうさん」ってあれ0歳からの童謡ってなってるでしょう。童謡は何歳からっていうのは関係ないんですね。
まど きちんと何歳からっていうことは、私はないと思いますね。



まど・みちお さんは、童謡「ぞうさん」の歌詞を動物園に訪ねてから書かれたのですか?